Trend Score の算出方法
Trend Score は「このキーワードがこのセグメントで今伸びているか」を 0〜100 に要約した順位指標です。絶対スコアではなく1回の分析の中での相対位置です。同じキーワードでも一緒に分析された候補が変われば点数も変わります。
突破比 30%Affinity 25%事前ボラティリティ 15%前年比 10%持続性 10%拡散 10%
1. 点数ができるまで
1回の分析は5段階を踏みます。点数は最後の2段階で作られ、その前の3段階は何を点数化するかを決める工程です。
1候補収集
›
2スクリーニング
›
3成分計算
›
4順位正規化
›
5加重合計
1
候補収集イシューインデックス・関連語拡張・AI Overview トピック採掘・再拡張。この段階の偏りがそのまま点数の偏りになります。
2
スクリーニングkeyword_info で候補全体の性・年齢構成比と48か月の検索量を取得し、構成比がない、またはセグメント月平均需要80未満のキーワードを除外します。
3
成分計算残ったキーワードごとに5つの成分をそれぞれの単位で計算します。
4
順位正規化各成分を今回の分析内の順位パーセンタイル(0〜1)に変換します。
5
加重合計重みを掛けて足し、測定できた重みの合計で割って 0〜100 にします。
2. 5つの成分
各成分は別々の問いに答えます。1つではトレンドを定義できないので5つ使います。
突破比 30%
この需要は自らの過去水準を突き抜けたか?
突破比 = (直近 W か月の平均) ÷ (その前12か月の中央値)
W = 選択期間、分母の下限 5
なぜこの成分か
検証で最も強い単一シグナルでした(AUC 0.736)。測定可能な6ドメイン全てで 0.68〜0.78 を維持。直前期比の成長率ではなく1年分の平常水準に対する現在位置を見るため、ウィンドウ境界での揺れを受けません。
注意
分母が中央値なので、1年間ほぼゼロだったキーワードは値が大きく出ます。セグメント月平均需要の下限(80)と順位パーセンタイルが大半を抑えますが、カードでは突破比と絶対需要を併せてご覧ください。
Affinity 25%
全国的に人気なのか、この層に特に偏っているのか?
share_k = このキーワードの検索者のうち選択セグメントの比率
baseline = Σ(share_k × volume_k) ÷ Σ(volume_k)
affinity = share_k ÷ baseline
なぜこの成分か
この成分だけは上昇の予測力で選んでいません。別の問いに答えるからです。20代女性の検索量が大きいキーワードは大抵ただ全体量が大きいだけで、カテゴリー平均で割って初めて「この層に偏っているもの」が分離されます。
注意
baseline は今回のプールから計算されます。カテゴリーを変えれば値も変わるため、分析の外へ持ち出して絶対値として引用してはいけません。韓国以外の市場には性・年齢データがなく、この成分は丸ごと外れます。
事前ボラティリティ 15%
この需要はすでに揺れているか?
ボラティリティ = 直近12か月の標準偏差 ÷ 平均(変動係数)
なぜこの成分か
2番目に強いシグナル(AUC 0.709)。急上昇直前のキーワードはすでに不安定です。一度も動いたことのないキーワードは動きません。方向ではなく動く準備ができているかを見ます。
注意
株式のように全てが元来ボラタイルな領域では弱くなります(0.517)。分析内パーセンタイルが差を吸収しますが、株式分析ではこの成分を割り引いてご覧ください。
前年比 10%
昨年の同じ期間より大きいか?
前年比 = (直近 W か月の合計) ÷ (1年前の同じ W か月の合計)
測定条件: 1年前の合計 ≥ 60
なぜこの成分か
AUC 0.703。季節性を自動的に相殺します。夏物は毎年7月に上がるため直前期比では毎年急上昇に見えますが、前年同期比では平凡です。
注意
48か月の時系列に1年前のデータがなければ測定されません。新規キーワードで欠けやすく、その場合は重みから外れます。
持続性 10%
一か月跳ねただけか、数か月留まっているか?
持続性 = 直近6か月のうち12か月中央値を超えた月数 (0〜6)
なぜこの成分か
AUC 0.686。成長率より高い。計算が単純で外れ値に鈍感なため、一か月のスパイクと定着した上昇を分けます。
注意
すでに高い水準で平らになったキーワードは自らの中央値も高くなり低く出ます。成熟した需要を低く評価する方向に傾いています。
拡散 10%
その名前は広がっているか?
表記ゆれ = 編集距離22%以内の別キーワード
拡散 = ( max(ゆれの突破比) + (1 + 近傍のうち突破比>1.2 の比率) ) ÷ 測定項目数
なぜこの成分か
名前が世間に出るとき、誤記と表記ゆれが同時に現れ同時に上がります。検証では、ある新型車の名前の3通りの表記が同じ月に、株価指数名とその誤記が同じ月に急上昇しました。ゆれが存在する場合の AUC は 0.640。
注意
疎です。プールの約4分の1しかゆれを持ちません。無い場合は推定せず、重みから外して残りを再正規化します。
3. なぜ素点ではなく順位パーセンタイルなのか
5つの成分は単位がすべて違います。成長率は −1 から +50 まで行き、Affinity は通常 0.3〜5、モメンタムは −0.3〜0.3、初期シグナルは 0〜1 です。そのまま加重合計すると成長率ひとつが残り4つを飲み込みます。
検索データはロングテールなので、平均・標準偏差に基づく正規化(z-score)も安全ではありません。外れ値ひとつが標準偏差を大きくし、残りをすべて0付近に押し潰します。
そこで各成分を今回の分析内の順位パーセンタイルに変換します。値のあるキーワードを昇順に並べ、0から1へ等間隔に配置します。スケールに影響されず外れ値に鈍感です。
代わりに代償があります。分析が違えば点数を比較できません。A の分析の85点と B の分析の85点は意味が違います。時系列で追うなら点数ではなくセグメント月平均需要と成長率の原値をご覧ください。
4. 測定できなかった成分の扱い
成分が欠けることがあります。直前ウィンドウが下限に届かず成長率が出ない場合もあり、ジャーニー拡張はリスト段階では一切測定しません。このとき欠けた成分に中央値や0を埋めません。そのキーワードについて重みから外して残りを再正規化します。
Score = 100 × Σ(wᵢ × pᵢ) ÷ Σ(測定された wᵢ)
ジャーニー拡張(15)が欠けた場合 → 分母 0.85
ジャーニー拡張と成長(30)が共に欠けた場合 → 分母 0.55
カードごとにどの成分が欠けたかを記録し、リスト上部にその事実を表示します。欠けた成分を0で埋めると、測定されていないことと測定して悪かったことが区別できません。
5. 実際の計算例
完了した分析を開いてからこのページを見ると、その分析の1位キーワードで実際の計算過程を数値とともに表示します。
6. このスコアが答えないこと
- セグメント別の成長率ではありません性・年齢構成比は現時点スナップショットの周辺分布で、時系列がありません。成長率は全体検索量で計算した後、現在の構成比を掛けてセグメント規模に換算した値です。「20代女性での成長率」が別途測定されたわけではありません。
- クロスセグメントは推定値ですAPI は性別比率と年齢比率をそれぞれ別に返します。20代女性の構成比は両者の積で推定した[派生]値であり、独立を仮定しています。実測のクロスパネルではありません。
- 規模ではなく順位ですTrend Score 90 のキーワードが 60 のキーワードより大きいわけではありません。絶対規模はセグメント月平均需要を別途ご覧ください。
- 売上や転換とは無関係です検索需要の変化のみを見ます。その需要が購買につながるか、利益が出るかはこのデータにありません。
- 韓国以外では Affinity がありません性・年齢構成比は韓国データにのみ存在します。日本・米国の分析は市場全体基準で走り、Affinity は重みから外れます。
7. 重みの根拠・バックテスト結果
この重みは仮説ではなく測定結果です。2026年9月、化粧品・自動車・医薬品・健康補助食品・ファッション・株式・芸能の7領域から検索語3,099件を集めて48か月の時系列を取得し、そのうち実際に急上昇した432件と、そうでない2,765件をデータで判別しました。
予測時点は急上昇の3か月前に固定。その時点までのデータのみで各シグナルを計算したため、結果が漏れ込みません。
以前の構成(成長30・モメンタム20・加速・小さいベース)は AUC 0.528。コイン投げと区別がつきません。上位24件のうち実際の急上昇は8.3%で、ランダムに選んだ場合の14.8%より低い結果でした。
現在の構成は AUC 0.726。上位24件の70.8%が実際の急上昇で、基準比4.8倍。上位10件では80%です。
成分別の単独判別力(AUC):突破比 0.736・ボラティリティ 0.709・前年比 0.703・持続性 0.686・12か月モメンタム 0.662・6か月成長 0.660・直近月 z 0.655・表記ゆれ 0.640・3か月成長 0.618・6か月モメンタム 0.613・加速 0.512・ジャーニー拡張 0.493。
2つを除きました。加速は 0.512 で無シグナル。ジャーニー拡張は急上昇18件と対照18件の検索経路を現在と12か月前の2時点で取得して検証し(クレジット11.3万)、0.493 でした。経路取得の limit によりノード数が20〜30で飽和し実際のネットワーク規模を反映しないこと、飽和を考慮しても両群の拡張幅が区別できないことが原因です。ジャーニーはスコアから外し、ドリルダウンの説明資料としてのみ残しました。
SERP シグナルも確認しました。AI Overview 露出 0.543、PAA 0.468、ナレッジパネル 0.467、関連検索ブロック 0.423、広告競合度 0.468。内容に踏み込んで関連検索語数(0.631)と語彙の新規率(0.590)も見ましたが、検索量ベースのシグナルに及びません。現行 API が SERP を現時点スナップショットでのみ提供し過去時点の検証ができない点も限界です。SERP 加点を初期シグナルから外し、代わりに今から月次で SERP を蓄積し12か月後に正しく検証することを次の課題とします。
残る限界:急上昇432件のうち132件が株式で、その大半が2025〜2026年の KOSPI 上昇という単一事象由来です。領域別に確認したところ突破比は全領域で維持されましたが、標本が5件の医薬品は検証できていません。
6か月の見通しの出し方
検索量が何件になるかは予測しません。韓国の検索曲線 3,340 本で過去の各時点から6か月後を当ててみたところ、トレンドを延ばす方法も前年同月を使う方法も「先月の値がそのまま続く」より誤差が大きくなりました。代わりに、直近3か月の向きと季節の繰り返しかどうかが同じだった過去の上昇例が、その後6か月で実際にどうなったかを数えます。
- 見通しの対象3・6・12か月のいずれかの区間で、その前の12か月の中央値の1.3倍を超えて上がり、直近3か月の平均が月50件以上の対象だけに見通しを出します。
- 上昇中直近3か月で検索量が15%を超えて上がり、最終月も前月以上です。
- 減速直近3か月で15%を超えて下がったか、最終月が前月より15%を超えて低い状態です。
- 横ばいその中間です。
- 季節の繰り返し昨年の同じ3か月がその前の9か月の中央値の1.3倍以上だったか、すべての検索語に年が付いています(毎年新しい検索語として生まれ直す場合)。
| 段階 · 季節 | 事例数 | さらに上昇 | 8割以上を維持 | 4割超の下落 | 6か月平均 / 現在(10〜90%) | 検証:範囲内 |
|---|
| 上昇中 · 季節でない | 4,968 | 69% | 84% | 7% | 0.68~5.09 (1.32) | 78% |
| 上昇中 · 季節の繰り返し | 3,377 | 58% | 74% | 13% | 0.53~2.96 (1.11) | 71% |
| 横ばい · 季節でない | 3,150 | 57% | 82% | 6% | 0.69~2.30 (1.06) | 75% |
| 横ばい · 季節の繰り返し | 2,344 | 48% | 73% | 11% | 0.57~1.94 (0.98) | 71% |
| 減速 · 季節でない | 6,351 | 44% | 62% | 19% | 0.45~2.51 (0.93) | 78% |
| 減速 · 季節の繰り返し | 5,221 | 34% | 49% | 34% | 0.23~1.87 (0.79) | 75% |
範囲は前の時期(基準月24〜33番目)で決め、後の時期(34〜42番目)に当てて確かめました。目標80%に対し、実際に範囲内に入った割合が最後の列です。
予測の的中記録
すべての照会の見通しを記録し、6か月後のデータが入ったら同じ検索語で測り直して当たったかを計算します。同じ対象を同じデータ月に何度も見通した場合は1回と数えます。
これまでに記録した予測 2,146 件、評価済みの予測はまだありません。最初の評価は 2027-02 のデータが入った後に可能です。
限界
- 韓国のサンプル(2026-09 の研究セット)で当てはめた表です。日本・米国にも同じ表を使い、的中記録がたまったら市場別に当てはめ直します。
- 同じキーワードを複数の時点で数えているため、事例数は独立したサンプル数より大きくなります。
- 放送やニュースなど外部の出来事による急騰は、曲線だけでは見分けられません。
- 範囲は広めです。一点の予測値を出さない理由です。
8. 実務での読み方
- ① 今伸びているものTrend Score の総合順位。何から見るべきか分からないときの出発点。
- ② この層に偏っているものAffinity 単独順位。ターゲット特異性が必要なメッセージ・商品企画用。
- ③ 立ち上がり始めたもの初期シグナル単独順位。先取りが目的のとき。絶対量が小さいので規模を期待せず方向だけをご覧ください。
3つのタブを分けたのは、総合点1つではこの3つの問いが区別できないからです。加重合計は常に平均へ引き寄せます。Affinity 5倍のキーワードも成長率が平凡なら総合順位では中間に埋もれます。